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「あんな、先生、聞いて!」

 

別館にある私の教室は、トイレの横にあります。自分の授業がない時間帯はいつも、ドアを開け放って机に向かい仕事をしながら、休み時間にトイレに来る生徒たちの様子を窺っています。鼻歌を歌いながらスキップして前を通る生徒、ドアのところで立ち止まって、「おはようございます!」「こんにちは!」と挨拶する生徒、教室の中へ入って来ておしゃべりを始める生徒、みんなそれぞれに「その日の顔」「その日の心」を見せてくれます。

「あんな、先生、聞いて!」と言いながら、元気よく教室に入って来る生徒たちもいます。そんな時は必ず、「聞いてるよ」と返して、彼らの心に耳を傾けるようにしています。トイレのついでに寄ったわりには長居しようとする生徒には、「ここはサービスエリアじゃないよ。早く教室に戻りなさい」と励ますこともあります。勉強のこと、テストのこと、友だちのこと、昨日あったこと、今自分が感じていること、思っていることなど、彼らが分かち合ってくれることはさまざまですが、彼らとのこの短いコミュニケーションの時間を、私は大切にしています。

私の存在には目もくれずに、入ってすぐ左手にあるホワイトボードに何かを書き始める生徒もいます。そのような時には、そこにどんな心が表れているのかを黙って見守ることにしています。 以前、ランチ後の時間に、6年生の男子生徒が4年生の男子生徒を連れて来て、ホワイトボードを使って熱心に算数の問題の解き方を教えることがありました。それは、「わかっていることを教えてあげる」「わからないことを教えてもらう」という子供たちの素直な心から生まれる自然なやりとりを、とても嬉しく感じた瞬間でした。

ある雨の朝、いつも通り本館でのミーティングを終えて別館の自分の教室に戻った時、窓のブラインドに登校時に濡れてしまった靴下が何足か干してありました。その光景を見た時も、私は微笑ましく、嬉しく感じました。生徒たちとの間に垣根がないことを実感したからです。

「先生たちは僕の気持ち、私の気持ちをわかってくれている」、「僕を、私を受け入れてくれている」、「僕を、私を大切に思ってくれている」と、どの生徒も思えるスクール環境を作れるように、これまでも教師全員で取り組んで来ました。ありのままの自分が権威者に受け入れられ、愛されているという経験が、子どもたちのアイデンティティーの形成に揺るがない土台を与えること

になることを理解しているからです。これからも、すべての生徒が自由に自分の思いや心を分かち合うことができる環境作りを目指していきたいと願っています。

「わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している。」(旧約聖書 イザヤ書43章4節)

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